ということがありまして、これ以外でもちょこちょこ質問が来るのでここに書くことにしました。
「特定保健指導をやるように言われたものの、何から始めたらいいかわからん!」って方向けに記事を書こうと思います。
この記事の内容
1.特定保健指導について知る
2.当日までに準備しておくこと
3.当日の流れ
4.おすすめの書籍、セミナーなど
1.特定保健指導について知る
特定保健指導ってなに?どんな人のために、どこが行っているか?、特定保健指導の階層化基準、理解してますか?
これらに関しては、厚生労働省のHPに掲載されています、「標準的な健診・保健指導プログラム【平成30年度版】」(特に第3編~)によくまとまっているので、しっかり読んで、自分なりにまとめておくとよいです。この記事でもこのプログラムのPDFをもとにどこを見ればいいのか、を中心に紹介していきます。
また、厚生労働省提供のe-ヘルスネットもわかりやすく載っているのでお勧めです。
大切なのは、自分の言葉でどう説明するか。
読み上げただけではなかなか理解ができない場合が多いので、どう説明したら対象者の方が理解しやすいか毎回の反応を見ながら調節していきましょう。
各健保さんが特定保健指導のチラシなんかをHPで紹介してたりもするので、そういったのをヒントにしてもいいでしょう。ただ無断転載はNGです。
2.当日までに準備しておくこと
①質問票
「標準的な健診・保健指導プログラム【平成30年度版】」
→P81~標準的な質問票
→P172 ~3-20表4「動機付け支援」、「積極的支援」に必要な詳細な質問項目」
特定保健指導は時間との闘いなので、こういった質問票を作成しておき、当日支援に入る前に記載してもらって、対象者を把握してから進めるとよいと思います。標準的な質問票は健診結果に掲載されている場合もあります。
「この人は運動習慣はあるのね」とか「間食習慣があるのか~」のように。称賛するポイントと、改善が必要なポイントを瞬時に把握できるので便利です。
元居た職場はA4両面1枚で作成してました。それ以上はボリュームが多すぎるので詰め込み注意です。
②特定保健指導のパンフレット
一番簡単で確実なのは、パンフレットを販売している会社から購入することかなと思います。
「特定保健指導 パンフレット」「特定保健指導 指導用テキスト」なんかで調べるとたくさん出てくるので、いろいろサンプルを取り寄せて選んでみてもいいでしょう。サンプルを取り寄せるのは無料の場合が多いし、情報をどんな風に伝えたら良いかも勉強になるのでお勧めです。ただ、医療の情報は更新頻度が高いので、パンフや教材を購入しても、ガイドラインの更新がないか、診断基準が変わっていないかなど情報の更新に努め、変わっていればその部分を訂正していきましょう。
③計画シート
支援では生活改善の計画を立案することが一番のポイントになります。指導教材には含まれていることが多いですが、ついてければぜひ用意を。
①現状の体重・腹囲→最終の体重・腹囲目標
②目標(なりたい姿)
③改善計画(3つ程度)が最低限あればよいと思います。
④健診結果を確認しておく
自院で受診していれば、検査値があると思うので、事前にどの項目が引っかかったか確認しておくと心構えができてよいです。
3.当日の流れ
①自己紹介をして、来所してくれたことの感謝を述べる
②質問票の記載をお願いする
→その間に健診結果の確認や保険証のコピー、服薬(血圧、脂質異常症、血糖値)の有無の確認。質問票の記載が出来たらざっと確認。一言さらっと良いところを称賛すると、以降の支援がうまくいく場合が多い(「運動習慣があるのとってもいいですね!」とか「3食食べることができているのいいですね!」とか)
服薬があれば主治医と連携してやらないといけないので、その点注意
③特定保健指導について知っていること、受講の有無の確認
以前受けたことがあれば、その時にどういう計画や知識を得たか聞く。なければ、特定保健指導について知っていることを聞く。ここで特定保健指導への意欲がなんとなくわかるので、それに対応しながら進める。
④特定保健指導について説明
→どういった制度か、今回なぜ該当したか、メタボの危険性
③の質問で訂正が必要だったり、知らなさそうな情報を中心に。なぜ該当したかはマスト。
⑤検査値の説明
→良い値は称賛!ほめられると誰だって嬉しい。悪い値はどういったものを食べると高くなるかを確認する。
タンパク質ではなく、肉や魚、など食品分類は細かく、具体的に。
・高血圧
→体重増加、塩分過多、カリウム不足、飲酒過多で起こる。
よく言われる塩分はどんなものに入っているか?漬物やかけ醤油はもちろんであるが、ラーメンやそば、うどんの汁やソーセージ、ちくわなどの加工食品に多い。そこまで詳しく聞けるかがポイント。
汁を残す、も立派な減塩方法。
・糖尿病
→炭水化物量や間食量がポイントになる。主食量やお菓子、菓子パン、飲料(ジュース、缶コーヒー、スポーツドリンク、飲酒)のいずれか、対象者がやりやすいところから進める。
筋トレも重要なので、有酸素運動と合わせて進める。ただしあまりにも体重が重い場合は、まず食事で体重を減らしてから運動へ。
・脂質異常症
→TGは炭水化物量がポイント。主食量、飲料からの糖に注意。菓子パンや果物の食べすぎも果糖が増→TG↑なので、特に冬のこたつミカンは注意。果物のジュースとか健康に良いと思ってよく飲んでたりするので注意。
→HDLは禁煙と運動がポイント。TGが高ければ、TGを下げるとHDLが上がる場合が多いのでそこも攻めていく。ただ、まれに遺伝的に低い場合もあるので、TG正常で30台前半くらいなら以前指摘されたことがないを確認する。
→LDLは特定保健指導の階層化基準には入っていないが、値が高い人が多いので聞かれることが多い。油が原因になることが多いため、あげ物やカップラーメン、ファストフードからの油に注意。あとは牛乳の飲みすぎとかも上がる要因になる人もいるのでそのあたりもポイントになる。たくさん飲みたい人は低脂肪乳を勧めたりする。
★運動は言わずもがなすべての項目に関連する。有酸素運動と筋トレを勧めるが、体重によってはまずは食事で減量することを進める。(BMI28くらい以上の場合はまずは食事から、と個人的に思っている。あとは各項目の値によって運動が禁忌になる場合もあるので、ガイドラインで確認を。
★「標準的な健診・保健指導プログラム【平成30年度版】」(P121)のフィードバック事例もわかりやすい。自分の言葉で説明できるように、がんば!
★上記フィードバックで受診勧奨値を超えた場合は、病院受診を勧めるのも忘れずに。
⑥計画立案
仕事やプライベートの忙しさを聞き、この支援にどのくらい時間が取れるかを確認。計画シートを使いながら、下記を立案します。
・全体的な目標
例:血糖値を基準値まで下げる、階段を楽に登れるようになる、Tシャツが似合うようになる、など
・減量目標
例:支援期間終了までにー2kg、腹囲-2cmを目指す
・改善するための計画(1~3つまで)
例:夜ご飯を1杯にする、ビールの1本目をノンアルコールビールにする、間食を150kcal/日に収める、炭酸飲料を0kcalタイプに変える、階段を利用する、帰りは1駅歩く、等。
★全体的な目標
今回の支援を行うためのモチベになるよう記載してもらいます。どんな自分になってたらうれしいか、がポイントです。
★体重・腹囲の目標
支援は3~6か月で終了する場合が多いと思うので、だいたい1kg/月を限度に。忙しいのであれば現状維持も立派な計画。
減量したい体重または腹囲(kgまたはcm)×7,000kcal÷支援期間(日)の計算を行い、1日当たりに必要な削減エネルギー量を確認する。
(7000kcal=1kg当たりの脂質エネルギーです)
例:3kgを6か月(180日)で減少
→3(kg)×7000kcal×180(日)=117kcal/日
「10kg痩せる!」等言われる方もいるが、リバウンドの危険があるので止める。期間内に減量することがゴールではない。良い生活習慣を身につける練習をするきっかけにしてもらう。
★生活改善の計画
ポイントは
・無理のない計画を具体的に立案する。
・あれもこれも詰め込まない。
・高かった検査項目に効果的なものを中心に立案の3つ。
また、先ほど算出した、1日当たりの削減エネルギーに内容が見合っているかも確認。
例えば、3kg6か月で減量したい人の計画が週2回の飲酒(300kcal/回程度)→週1回にする、だけでは不十分。1回あたり300kcalのエネルギー減が見込めるが、1日当たりに直すと、42kcalになるため、あともういくつかの計画が必要。
何を減らせばどのくらいエネルギーが削減できるか、頻度も併せて確認する。
カロリーブックが各出版社から出されているのでそういったものを利用するのもおすすめ。私が使っているのは↓
運動の消費エネルギーの計算は健康長寿ネットにわかりやすく掲載されていたので参考に。身体活動のガイドラインは2013年と古いですが、メッツ表が細かく乗っているので詳しく知りたいときは参考に。
⑦総括
計画が実現できそうかを確認し、難しいなら再考する。
今日の振り返りを行い、次回のスケジュールを確認して終了。
4.おすすめの書籍、セミナーなど
①栄養指導を知る
●●してくださいね、なら誰でも言える。なぜそれをしないといけないのか、どういう食品を控えるのか、市販されている食品にはどんなものがあるか、具体的に、わかりやすく。管理栄養士は栄養の翻訳家だと思っている。あと、知識を伝えなきゃ!としゃべりすぎるのも要注意。私もよくやる。一番いい支援は、対象者がたくさんしゃべってくれること。良い質問を適切にできるように、コーチングとかめっちゃ大事。
★医師薬出版から出てる「ニュートリションコーチング」がおすすめですが今売り切れているみたいですね…。
https://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=746030
あとはこれもおすすめ↓
資料では、国立保健医療学院にいままでのPDFなどがあります。
https://www.niph.go.jp/soshiki/jinzai/koroshoshiryo/tokutei31/index.html
→①効果的な保健指導のポイント
講座は
・「特定保健指導 初任者研修」が都道府県や栄養士会、中防災などで実施されています。
・輝栄会のセミナーもよかったです。
→栄養指導講座
・栄養士会の講座は不定期ですが、安く受けられるのでお勧め。
・栄養士会主催の日本栄養士大会は、栄養にかかわる分野すべての最新の情報が得られるので、とっても良いです。今年はオンライン開催の予定だそう。
②日々の情報更新
・栄養と料理
→女子栄養大学の月刊誌。一般向けの雑誌なので、病気の説明がとにかくわかりやすい。どのように説明すればよいか、の勉強になります。
・栄養士会会報
→各種ガイドラインの更新や診療報酬改定などそのときに欲しい情報がもらえるので、いつも入っててよかったな~って思います。ここ数年会報誌がすごくおシャンティになって読むのが楽しみ。
・ニュートリションケア
個々のシリーズもすごく良き。良き。
・佐々木敏の栄養データはこう読む!
栄養疫学の佐々木先生の著書。科学的根拠に基づく栄養学がわかりやすい口調で書かれているので読みやすいです。
とりあえず、詰め込むだけ詰め込みました。
誤字脱字チェックよろです。